EVANS

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プレイズ・ジョン・コルトレーン・アット・V.V/M.タイナー - 店主

2016/08/27 (Sat) 23:33:40

1997年の9月のある週、ジャズ・クラブの名門であるヴィレッジヴァンガードがコルトレーン・ウィークのイベントの中で登場したマッコイ・タイナー、ジョージ・ムラージュ、アル・フォスターからなるスーパー・トリオによるライブ盤が「プレイズ・ジョン・コルトレーン・アット・ザ・ヴィレッジヴァンガード/マッコイ・タイナー(インパルス)」として発売された。調べてみたら2001年リリースだからもう15年も経過していた。もちろん特別企画のワン・ナイトものだから選曲、音のバランスを兼ねての軽いリハーサルぐらいで本番に臨んだものと思われる。しかしながら、コルトレーン黄金期のピアニストだったマッコイと百戦錬磨のムラージュ、フォスターなだけに素晴らしい出来栄えになっている。

選曲はマッコイだと思うが〈ネイマ〉〈クレセント〉〈アフロ・ブルー〉〈アイ・ワント・トーク・アバウト・ユー〉〈アフター・ザ・レイン〉など全編コルトレーンのオリジナルでかつてのボスを偲ぶかのように静かな楽曲を揃え、彼への偉業を讃えるパフォーマンスとなっている。マッコイのソロばかりではなく、他の2人にも十分スペースが与えられ、聴き応えあるのがうれしい。店主的には〈クレセント〉に特別な思い入れがあるだけに感涙もののトラックとなった。

映画も楽し(1)ーと1。 - 店主

2016/08/26 (Fri) 23:27:19

久しぶりに心あたたまる素晴らしい映画に出会えた。1978年のクリスマスにチャップリンが亡くなったが墓に埋められた棺が身代金目的のために盗まれるという実際の事件があった。この事件をヒントに作られたヒューマン・コメディ映画が『チャップリンからの贈りもの』だ。監督始め全てのスタッフが喜劇王チャップリンへのリスペクトとオマージュが感じられる。生涯映画に捧げたチャップリンの思いがこの映画のストーリー・テラーに見事にかぶる心憎い作品。そしてチャップリンの四男と孫娘が出演しているのも驚きだ。ジャズ・ファンにはミシェル・ルグランが音楽を担当しているのもうれしい。

ザ・エリック・バード・トリオ - 店主

2016/08/25 (Thu) 22:53:22

毎年、生まれては消えてゆくたくさんのジャズ・ミュージシャンたち。どんなジャンルの音楽もそうなのだろうがメジャーにのし上がるには実力ばかりでは如何ともし難く、運不運もあるに違いない。今日、聴いたエリック・バードもそんな一人なんだろうと思う。バードはアメリカの若手黒人ピアニストだがすでに5~6枚アルバムをリリースしているにもかかわらず著名なレーベルから出たものではなく、自主制作のようだ。全体を通してスピード感も小気味よいし、キレもそれなりにある。全編オリジナルである点も好感持てるのだがいかんせん個性に乏しい。

どの曲目を聴いてもどこかで耳にしたようなものばかり。そしていろいろなことをやってみたい気持ちはわからなくもないが逆に詰め込み過ぎが災いして没個性になっている。〈テイクン・バイ・フォース〉や〈フォール・オブ・ナイト〉などは店主が40年前に新宿のライブ・ハウス【ピットイン】や【タロー】で聴いた日本人トリオではないかと思う錯覚を起こしてしまう。これらを懐かしむファンには薦めてもいいがこの辺りのラインを越えられるかどうかがメジャーになりうるかどうかカギなのかもしれない。

映画も楽し - 店主

2016/08/24 (Wed) 23:51:35

リオ五輪も無事に終わり、寝不足も解消されるかなと思った矢先、ガッド師匠からうれしい悲鳴のお中元。なんと50作以上の映画DVDのプレゼント。師匠、本当にありがとうございます。『わが谷は緑なりき』『アラバマ物語』といった古典的名作から、ヒッチコック物など店主の好きそうなものばかり。中でも狂喜乱舞したのはマーティン・スコセッシとロバート・デニーロのコンビによる傑作中の傑作『キング・オブ・コメディ』。昔、鑑賞して以来再び観たい作品の筆頭だっただけに喜びもひとしお。師匠、大切に観させていただきます。

トゥーツ・シールマンスの思い出 - 店主

2016/08/23 (Tue) 23:41:58

トゥーツ・シールマンスが逝った。94才だった。ここ数年、健康状態が心配されていたが、また一人、ジャイアントが消えてしまった。店主はシールマンスをジャズメンとして認識したのはクインシー・ジョーンズ・オーケストラの「スマックウォーター・ジャック(A&M)」の〈鬼警部アイアンサイドのテーマ〉のかっこいいハーモニカ・ソロを聴いてから。しかし彼とは知らずにずっと忘れられずに頭に残っていたのが中学生なりたての頃に観たジョン・ヴォイドとダスティン・ホフマンによる不滅の名作『真夜中のカウボーイ』の主題歌、そう、あの切ないハーモニカがシールマンスだったのだ。

シールマンスは世界一小さな楽器ハーモニカで世界一偉大なプレイヤーになった。彼はハーモニカの他にギター、口笛を駆使してメインストリーム・ジャズだけではなくブラジル・ミュージック、映画音楽など幅広く活動していく中でこの分野における第一人者となる。今夜はそんな彼の功績に敬意を表して【真夜中のカウボーイ】を鑑賞して、そのあとビル・エヴァンスとのコラボレーション「アフィニティ」を聴いて冥福を祈りたいとおもう。

品格ある1枚 - 店主

2016/08/22 (Mon) 22:29:32

店主が初めてこの地に来たときに老舗喫茶『アルパ』で聴いた「ベッドで煙草はよくないわ/エディ・ヒギンス(ヴィーナス)」。店主にとってエディ・ヒギンスは50年代に活動したピアニストの印象があった程度でアルバムすら聴いたことがなかった。後で調べてみたら、リーダー・アルバムもたった1枚のみという超幻級のピアニスト。しかし日本人はこういうピアニストをよくもまあ探して来るものだとつくづく感心させられる。コーヒーを飲んでいたら突如スピーカーから流れてきた〈クローズ・ユア・アイズ〉にブラインド・フォールド・テストを試みるものの、該当するミュージシャンが思いつかずアルバムを見せていただいた思い出がある。

録音が新しく、ピアノ・トリオとしては珍しいドラムレスのものでギターのジョン・ピザレリの粋な演奏と端正で品のあるヒギンスのプレイにすっかり聴き惚れてしまった。ヒギンスはこのアルバムあたりからに日本で爆発的人気を得ることになるがその後食傷気味になるくらいアルバム連発を考えるとやはりこのアルバムが「魅せられし心/同」とあわせて彼のベストのような気がする。ヴィーナスにしてはジャケット写真も含めて品格ある1枚としておすすめしたい。

ネフェルティティ/マイルス・デイヴィス - 店主

2016/08/10 (Wed) 00:26:42

北海道には珍しく猛暑の続く中、昼過ぎに千葉県柏市でジャズのお店を経営されているK氏が当店にお立ち寄りいただいた。店名は【ネフェルティティ】という。もちろん、あのウェイン・ショーターの名曲から名づけられたそうだ。わずか数十分の来店だったが、お話を伺う中でK氏のジャズに対する造詣の深さと愛情を感じることができ大変楽しいひとときを過ごすことができた。あと少し道内各地を旅行されるという。無事を祈るばかりである。

さて【ネフェルティティ】と言えば、エジプト王妃、ツタンカーメンの義理の母親として有名だが、つい先ごろ王妃に関して長い間謎になっている墓のありかについて新説が発表され話題となっていた。そのドキュメンタリー風の番組を見ていたら、当然のようにマイルスの〈ネフェルティティ〉のペットが頭の中で鳴り響く。あのミステリアスなメロディのオスティナートは初めて聴いた時はショッキングだった。ジャズで当たり前のアドリブが一度も演奏の中に出てこない。当たり前が当たり前ではないこの試みは「ESP」「マイルス・スマイルズ」と続くマイルスとウェインの到達点であり、完成形であることに驚嘆させられる。『ウェイン・ショーターの自伝』によればアドリブ禁止をウェインに指示、そばにいたトニーやロンやハンコックはニヤニヤ笑っていたという。そしてあの複雑なドラミングに呼応するかのようなベースライン。何より延々と続くテーマの後半でマイルスの音に少し遅れながらまとわりつくウェインのテナーが凄すぎる。あたかも、ツタンカーメンの影に見え隠れするネフェルティティのように‥。

Re: ネフェルティティ/マイルス・デイヴィス ネフェルティティ・オーナー

2016/08/22 (Mon) 13:20:12

先日は突然お伺いし他にも拘らず、とても丁寧に対応してくださり、またその後このようにブログにて紹介してくださり有難うございました。『エヴァンス』でのジャムセッション風景を見てみたいなあと思いました。『雨に唄えば』が好きなのですか?今回の北海道ジャズ喫茶巡りのblogを書き記したいと思います。

Re: Re: ネフェルティティ/マイルス・デイヴィス - 店主

2016/08/22 (Mon) 21:48:56

無事にお戻りになられて何よりです。お時間に余裕がございましたなら、もっと歓談したかったほどでございました。私もオーナー様のブログを拝見いたしました。とても素敵なお店で田舎の私の店が恥ずかしくなりました。映画は大好きです。ジーン・ケリーの額は開店(最初の店)当時にあのサイズのものを幾枚か購入して店内のレイアウトとして使用しておりました。

アローン・アゲイン/ポール・ブレイ - 店主

2016/08/21 (Sun) 23:49:08

1972年に発表した「オープン・トゥ・ラブ(ECM)」に続くピアノ・ソロ・アルバムだからつけられたタイトルなのか「アローン・アゲイン(IAJ)」は何を意図してかジャケットのイラストをうまく使って人の顔になっている。よく見るとその顔はサルバドール・ダリだ。ダリの絵画を思い浮かべながら聴いてみると怪しげなムードがオーバーラップしてくる。ブレイのピアノはクールなのか情熱的、饒舌的なのか店主はとらえきれず、時々見失うことがある。しかし、そんな時は身を任せてブレイの音のラビリンスに入ることにしている。するとクールも情熱もプレイ特有の官能の世界へ誘ってくれる。その感覚が何とも気持ちがよい。

ベースの名手N・ペデルセンともスティープル・チェイス盤で取り上げていた〈オルホス・デ・ガトー〉はスペイン語で『猫の目』の意味だがまとわりつくようなネットリとした感じがたまらない。蒸し暑い真夏の夜にはもってこいの1曲だ。ソロ・ピアノに違った雰囲気を求めてみたい方にお勧めのアルバム。

おもいでの種 - 店主

2016/08/20 (Sat) 23:45:41

1930年代にイギリスで上演された演劇の中の挿入歌である〈ジーズ・フーリッシュ・シングス〉。イギリス人であるジャック・ストレイチーが作曲したものだがシャンソンの〈枯葉〉のように曲がヒットしたのはアメリカからではない数少ないスタンダード・ナンバーである。たくさんのジャズメンやシンガーに愛されて曲だが、邦題は誰がつけたかわからないが【おもいでの種】という。『口紅の跡が残ったたばこの吸い殻、ロマンチックな場所への航空券…こんな馬鹿げたことがあなたを思い出される。』といった内容のトーチ・ソングだが、店主の父はこの曲が大好きだった。

今から10数年前、新聞のコラムに父の思い出としてこのエピソードを書いたことがあった。それから何年も経ってある人とこの話をしたことがあった。その人はえらくそのコラムのことを褒めてくれた。素直にうれしかった。およそジャズなど聴くことのない人と思っていたのに、会話の終わりにその人はエラ・フィッツジェラルドがヴァーブ盤、オペラ・ハウスで歌っている〈おもいでの種〉が好きだと言っていた。今でも忘れられない。そして、店主にとって馬鹿げたことではない素敵な『おもいでの種』となっている。

ドナウエッシンゲンのアーチー・シェップ - 店主

2016/08/19 (Fri) 23:02:17

暑く寝苦しい夜が続いているがこんな時こそ逆療法で熱いジャズが聴きたくなる変わり者の店主。今回はテナーサックスの強者、アーチー・シェップのライブ盤でスカッとしたい。ドイツの地方都市、ドナウエッシンゲンでは毎年開かれていた恒例の音楽祭があった。クラシックの現代音楽のための音楽祭でジャズ・フェスティバルではない。そんな所に異例中の異例で登場したのが1967年のシェップだ。そして67年といえばジョン・コルトレーンが亡くなった年。その3カ月後にラズウェル・・ラッド、グレシャン・モンカー3世の二本のトロンボーンにコルトレーンと最後まで活動を共にしていたベースのジミー・ギャリソン、ドラムスはビーバー・ハリスという強力な布陣でステージに立つ。

アルバム・タイトル「ワン・フォー・ザ・トレーン/アーチー・シェップ(MPS)」は曲に途切れがなく、パート1と2のみ個々の即興はエネルギッシュでアヴァンギャルドだがアンサンブルは実に美しく統制されている。特筆すべきはラッド、モンカーふたりの強烈なサウンドだ。こんな形でトロンボーンがフィーチャーされたのは今まで聴いたことがなかっただけに新鮮で衝撃だった。そして圧巻はパート2に入っての9分あたり。今までの熱い演奏が突然静寂にかわる。そして流れてきたメロディが〈いそしぎ〉だった。今までの汗が鳥肌が立って一挙にひく。そして感動。この1枚、シェップ生涯にわたる渾身の出来でコルトレーンへのレクイエムとして未だに超えられていない1枚。


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